20170519 Fri. 映画「サンドラの週末」

映画「サンドラの週末」
◯原題 Deux jours, une nuit
◯製作年 2014年
◯製作国 ベルギー・フランス・イタリア合作
◯配給 ビターズ・エンド
◯上映時間 95分
◯映倫区分 G

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◯監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ
◯製作:ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ/ドゥニ・フロイド
◯脚本:ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ
◯撮影:アラン・マルクーン
◯美術:イゴール・ガブリエル
◯衣装:マイラ・ラマダン・レビ
◯編集:マリー=エレーヌ・ドゾ
◯キャスト
マリオン・コティヤール:サンドラ
ファブリツィオ・ロンジョーネ:マニュ
オリビエ・グルメ:ジャン=マルク
モルガン・マリンヌ:シャルリー
ピリ・グロワーヌ:エステル
シモン・コードリ:マクシム

<パルムドールを受賞した「ロゼッタ」「ある子供」など、カンヌ国際映画祭の常連として知られるベルギーのジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟が、オスカー女優のマリオン・コティヤールを主演に迎えた一作。体調不良で休職していたサンドラは、ようやく復職の目途が立つ。そんな矢先のある金曜日、会社が職員へのボーナス支給のために1人解雇しなくてはならず、サンドラを解雇すると通告してくる。同僚のとりなしで、週明けの月曜日に職員たちによる投票を行い、ボーナスをあきらめてサンドラを再び迎えることに賛成する者が多ければ、そのまま復職できることになる。それを知ったサンドラは週末、同僚たちを説得してまわるが……>(映画com.)

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「サンドラの週末」などという邦題に惑わされて、内容を吟味しないまま拝見し、仰天した。うつ病で休職していた女性、サンドラが復職しようとした矢先、上司から解雇を告げられて、結局、16人の同僚に支給されるボーナスをとるか、サンドラの復職を希望するか、の二者択一を迫られた同僚たちを、説得して回るという「週末」だった。すごい「週末」だ。

16人中3人しか彼女の復職を了解していない、ということで、月曜日に延期された再投票に向けて、サンドラは夫と同僚のヘルプをえながら、一人ひとり、同僚の家を回って、投票では自分に入れるように頼む。

<ダルデンヌ兄弟は本作で、人間が恐怖心から脱却し、強く前に進むさまを表したかったという。またこの映画が人々にどう響いてほしいかという話題になると、ジャン=ピエールは「ぜひサンドラの立場に立って、自分ならどうするだろうかという内的な対話を続けて欲しい」と真摯に語った。さらに「サンドラはうつ病から抜け出してきたばかりで、周囲から弱い人、もろい人と思われるが、そんな彼女が他の人の意見を変えることができる。またそうすることで、自分自身も変わることができる。その道程を描いた」と続け、「この映画は人間の弱さやもろさに対する礼賛」だと作品をアピールした。>

なにかあるとすぐに泣き出し、夫に怒りをぶつけ、果には、安定剤を飲もうとする、弱いイメージの女性が、それでも「賃金が入らないのは大変だ」「1000ユーロは大金だ、私を辞めさせないで」と訴えて歩くが、言われる方も、生活防衛のためには「ボーナス」を選択せざるを得ない状況がある。小さなパイを力弱き者同士が取り合うという凄まじい闘争、だ。

こういうことを思いつくのもすごいなあ、と、一体ダルデンヌ兄弟は、どこでこの話のヒントを得たか、と聞くと、
きっかけはフランスにあるプジョーの工場で起こった出来事、だそうだ。

<ピエール・ブルデューという社会学者が監修をした本「世界の悲惨」に、その工場で働く労働者9人に聞き取りをした内容が書かれていました。その中の1人の労働者で長期間休んだり、仕事のペースが遅いなどパフォーマンスの悪い人がいたのですが、その人を解雇するために会社側は他の労働者たちの同意を取り付けでしまったんです。そして休暇明けには解雇するという状況に追い込んだのです。本人がなんとかその決断を覆そうとしても覆らなかった。結局は解雇されずに済んだのですが、別の部署に異動させられ給料が減ってしまいました。その話から、「ある週末に女性が解雇を避けるために同僚を訪ね歩く」という物語を思いつきました。この連帯の欠如に対して、解雇される労働者側から連帯を再構築しようとするプロセスに関する物語を作ろうと考えました>

プジョー、か。

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なにかあるとすぐ泣き、薬や夫に頼ろうとする女性が、それでも、一人また一人と訪問して、話し合っていくうちに、全員ではないが、ある同僚とは分かり合えて、協力を取り付けることができるし、同僚たちが全員、ボーナスを諦めて、「闘おう」というような理想的な結末ではないけれども、たった2日間のサンドラの「闘争」の中で、彼女自身の中に、少しずつ、意思的なものが生まれ始めて、最後のシーンへと流れていくのが、この映画の希望といえば、希望である。

また、彼女に押しかけられる同僚たちの状況も、よく分かるのである。サンドラを復職させたいという気持ちがあっても、言い出せない。

<特にこうした小さな企業の中では、恐怖が支配し、みんな怯えています。月末にはお金が足りない、経営者が怖い、サンドラでなく自分がクビになるかもしれない。常に怖いのです。子供の学費を払えないかもしれない。車を買ったけれどもそのローンが払えないかもしれない。いつ何時貧困に陥るかわからないという恐怖に晒されています。だから経営者と正面切って戦えないのです>

どこの国の労働者も同じだ、ということがわかり、サンドラが一軒一軒の家を回るのを、一緒に回っている気分になり、自分だったらどう返答するだろうかと、彼女たちのことから目が離せないようになってしまうのだ。なんて映画だ。




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自分の見た芝居や映画を、備忘録代わりに書き留めておきたい。舞台やスクリーンの中に、様々な人生が見え隠れします。

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