FC2ブログ

20180618 Mon. 映画「ゲッペルスと私」

映画「ゲッペルスと私」

原題 A German Life
製作年 2016年
製作国 オーストリア
配給 サニーフィルム
上映時間 113分


s_4fd9178c32cf4243[1]

監督 クリスティアン・クレーネス/オーラフ・S・ミュラー/ローラント・シュロットホーファー/フロリアン・バイゲンザマー
脚本 フロリアン・バイゲンザマー
キャスト ブルンヒルデ・ポムゼル

<ナチス政権の国民啓蒙・宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルスの秘書を務めたブルンヒルデ・ポムゼルが、終戦から69年の沈黙を破り、撮影当時103歳にして初めてインタビューに応じたドキュメンタリー。1942年から終戦までの3年間、ゲッベルスの秘書としてナチス宣伝省で働いたポムゼルは、「あの時代にナチスに反旗を翻せた人はいない」と話す一方で、「ホロコーストについては知らなかった」と語る。近代史最大の戦争犯罪者のひとりであるゲッベルスに誰よりも近づいた彼女の30時間に及ぶ独白を通し、20世紀最大の戦争における人道の危機や抑圧された全体主義下のドイツ、恐怖とともにその時代を生きた人々の姿を浮かび上がらせていく。>(映画com)

s_640[1]

御茶ノ水に用があり、それならば、と岩波ホールへ「ゲッペルスと私」。当時103歳の、ゲッペルスの元秘書、ブリュンヒルデ・ポムゼルのインタビュー映像と当時のアーカイヴ映像を挿入することだけの2時間弱。

タイトルのゲッペルス中心の映画ではなく、あくまでゲッペルスの秘書として、当時、ナチスの中枢部で働いていた女性が61年ぶりに肉声で当時を語る、という画期的なフィルムである。

何よりも、この女性は当時の出来事を知らなかった、と言う。収容所で何が行われていたかということも、多くのユダヤ人が殺されたということも、知らなかった、と。終戦後、ソ連軍に捕らえられ、5年間強制収容所を転々としたらしいが、「あの(強制収容所の)シャワーはきちんとお湯が出たし、あそこからお湯とは違ったものが出ていたなんて知らなかった」と。

解放当時の収容所の様子をアーカイブ映像ですかさず放映する。やせ衰えた死体の山をドイツ人たちにキチンと見せて、「知らなかった」と言い張るドイツ人に、死体を運ばせ、葬らせる、ということを連合軍はしているのだ。

s_640[1] (4)

白バラのショル兄妹のことが話しに出てきて、ビクッとした。彼らの書類を上司から預けられたけど、「絶対中を覗こうとしなかった。上司の信頼を裏切ることはできなかったから」「黙っていたら彼らは今も生きていたわ」「あんなビラを撒いたからだわ」なんだか今でも聞こえてきそうなセリフだ。当時ショル兄妹に下されたギロチン刑は「本当に残酷だった」と。でも、敗戦直前に防空壕でヒトラーの自殺に続いて、ゲッペルスも自殺したことを報告されて、何よりもショックを受けた、と言っていた。

5年間の抑留を終えて、戻ってきてから初めてホロコーストを知ったという。「悪は存在するわ。なんと言えばいいかわからないけど神は存在しない。悪魔は存在する。正義なんて存在しない。正義なんてものはないわ」

「私に罪があったとは思わない。ただし、ドイツ国民全員に罪があるとするなら話は別よ。結果的にドイツ国民はあの政府が権力を握る事に加担してしまった。そうしたのは国民全員よ。勿論私もその一人だわ」という言葉で彼女のインタビューは終わった。

撮影の3年後、106歳で、この世を去った。終生独身。恐ろしいほどの深いシワが、彼女の苦悩を物語っているように思われた。


s_640[1] (2)
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

andromache

Author:andromache
自分の見た芝居や映画を、備忘録代わりに書き留めておきたい。舞台やスクリーンの中に、様々な人生が見え隠れします。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
08 | 2018/09 | 10
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR